おそらく、どこの大学の獣医学科でも獣医学科特有のアホなイベントが4〜5つ存在するであろう。学長の所属する某大学においても例に漏れず、獣医学科4大イベントと称される(勝手に呼んでいる)年間行事があるので軽く紹介してみようかな、と。
新入生歓迎コンパ
毎年4月中旬、つまりは新入生が入ってすぐに行われる、獣医学生全員が参加する最大規模のビッグイベントであり、入学してホッと一安心の新入生に襲い掛かる最初の獣医学科の洗礼でもある。これを受けることによって初めて先輩、先生達に「獣医学生」として認められるという非常に重要で神聖な儀式であるため、新入生の参加は当然絶対である。詳細は「新入生歓迎コンパ」を御覧あれ。ちなみにこの新歓コンパの準備は毎年、3年生が行うしきたりになっている。
県人会
新入生歓迎コンパから約1ヵ月後に行われる、同郷同士の学生達が集まって行われる最もアットホームなイベントである。獣医学科は非常に小さな組織である。農学科が一学年200人以上いるのに対し、獣医学科は30〜40人程度。6年全部合わせて200人そこそこだ。そんなわけで、小さいなりに、上下左右の結束力を強めてガンバロー!という儀式。 というよりも、単に飲んで騒ぐ口実が欲しいだけというのが実際。会は出身地域ごと(九州、中国・四国、大阪・京都府民会、西日本、東日本etc)に分けられ、先生達も出身地ごとにそれぞれの会に属している。故郷から遠く離れた大学へはるばるやって来た学生が多いので、このように同地域ごとに集まって飲みつつ、ローカルネタに華をさかせる事ができる機会は非常にありがたく貴重なものである。先輩方は同県、同地域出身の後輩にはとりわけ目をかけてくれるのでお互いの親密度を深める良い機会となる。
一応は各会ごとに、バラバラで会を行うのだが、結局はみんな獣医の身内であり、会を行える日程などもほぼ同じなので同日に複数の会が重なることも珍しくない(同じ店の1階では○○県人会、2階では△△県人会など)。というか、むしろ多い。なので途中でいろんな会が入り乱れて、最終的にはグダグダのざっくばらんな飲み会になることがほとんどである。県人会は新入生入学期と卒業生卒業期の年二回催され、それぞれの主役(新入生と卒業生)は会費はタダである。ちなみにこの県人会の準備も毎年3年生が行うしきたりになっている。
慰霊祭
毎年6月頃に行われる、実習や実験などでその身を捧げた動物達や家畜病院で治療の甲斐なく亡くなった患畜達の魂を慰めるための祭事で、獣医学科のイベントで最も厳粛で神聖なイベントである。おそらくどこの大学でも行われる行事であろう(オイラの勤めている所でも動物供養が毎月1回行われる)。病院の庭の隅に建てられた慰霊碑前に会場が設置され、たくさんの花束やペットフードなどが捧げられる。式には亡くなった動物の飼主や学部長、教職員、学生を始め、保健所所長や農協長、近所の動物病院院長など動物に携わる人が多数参列する。一年生や二年生はあまり動物を扱う機会も少ないためか、参加する学生は少ない(強制ではない)。三年生以上は会場の準備や片付けを行う(三年生は草刈、四年生は準備、五年生は片付け)ため、参加する学生が多い。四年生以上の研究室に所属している学生は実際に自分の実験で動物を使う機会も多いため、ほぼ全員が参加する。また、四年生以上の学生はたいていは喪服着用で参加する。
動物たちへの感謝の言葉を述べたり焼香を行い、亡くなった動物たちの供養を行う。といっても、こんなことくらいで彼らが許してくれる?かどうかはわからず、人間達の勝手な自己満足なのかもしれない。がしかし、年に一度、こうして改めて考えさせられる機会となることは確かである。
球技大会
毎年7月頃に行われる、獣医学科四大イベントの内で最も獣医っ子達を熱くさせるイベントである。毎年、ソフトバレーボール(柔らかいボールを用いたバレーボール)とほぼお決まりになっており、全10以上の研究室が2つのリーグに分かれて総当たり戦を行うという非常にハードでエキサイティングな戦いである。この大会は毎年、各研究室の意地と誇りをかけて戦うという大変伝統ある戦い!・・・ではなく、そのガンバリが商品である酒類がお目当てだという事は説明するまでもない。大会終了後は当然、恒例の打ち上げ飲み会が各研究室で開催されることはもはや言わずもがなであろう。
研究室の学生は当然、院生、留学生、先生と老若男女無差別級のバトルロワイヤル状態。しかし、暇な人ばかりでもないので、当然参加できない人もいて参加者が少なかったり、元々研究室の人数自体が少なかったり、極端に男性が少ない研究室などでは3年生以下の若いルーキーを助っ人に呼ぶことが許されており、その場合は当然、背の高い男子や高校でバレーをやっていたエースなどのスカウトといった場外戦が白熱する。
決勝リーグでは各リーグの1位同士、2位同士〜が戦い、それぞれ1・2位、3・4位〜と順位を決定していく。外科と解剖が体力を必要とする研究室のためか、毎年やたら強い。数年前までは秋季運動会もあったが、その時期(秋は卒論や国試や5年生も実験始めたり)はいろいろと忙しいという事で廃止となり、現在研究室が互いに火花を散らし団結する機会はこの夏季球技大会のみとなってしまった事は、ちょっぴり寂しいところである。ちなみに球技大会の準備・進行は前年最下位だった研究室の4年生が行うしきたりになっている。
番外:赤フンパレード
大学の秋と言えば学園祭。なのだが、大学が一杯あるような都心の賑やかな所ならばさぞや盛り上がるこったろうが、獣医学科のある大学というのはえてしてその半数が地方、つまり田舎に在り、かつ学長の大学においては半径100km近い圏内には他大学が無い、やって来るのは近所の小中高生とその親御さんくらいという、それはそれはわびしい学園祭である。
他の大学の学生がわざわざやって来るようなことなどまずない。交通は不便だし、わざわざ来るほど価値のあるイベントもないし・・・。構内は90%が出店であり、売上を伸ばしてその後の打ち上げを豪勢にしようとがんばるサークルの人々が獲物(客)を狙って目を光らせている(ちなみにターゲットは小中学生であることが多い)。一応、メインステージでは私設バンドやらカラオケ大会やらオカマコンテストなどいろいろなイベントをやって盛り上がろうとがんばってはいるが・・・。また毎年、「知っている人は知っている」レベルの2.5流有名人(お笑いタレントやバンドなど)を呼んでステージが行われる。これはさすがにそこそこ集客力があるようだ。
そして我が獣医学科も、こんなわびしい学園祭を少しでも盛り上げるべく貢献をしている。毎年、獣医三年生が出店を出しているのだ(残念ながら一日獣医さんなどはやっていない)。学園祭前になると三年生が各研究室を回り、チケットを半強制的に売りつけていくのは毎年の風物詩である(先生などには家族分もと、複数枚売りつける光景も)。さらに毎年恒例の獣医学科オリジナルイベント、「赤フンパレード」を行う。頭には赤い鉢巻、上半身は裸で下半身は赤いフンドシ、白衣を羽織り、片手には体の暖まるミネラルウォーター(世間では日本酒と呼ばれる飲み物)入りの一升瓶、もう片手には手作りの貧相な御神輿を担ぎ、大学構内、果ては市中を練り歩くという、商店街や警察には大変不評で近所迷惑な名物パレードで毎年祭りを盛り上げているのである。
当然祭り好きの先輩や後輩、部外者の飛び入りもOK!また、女性はさすがにフンドシするわけにもいかないので、犬、河童、ナース、チャイナ服と思い思いに仮装して一緒に行進する。ちなみにこの神輿やフンドシは売店の売り上げを皮算用して材料を買って作成する(もちろん三年生が)。
しかし、近年は町や警察からの苦情が多いせいか、パレードは構内だけで行われるようになったのも時代の流れというものだろうか。
赤フンパレードのもよう
番外:研究室旅行
研究室によっては夏休みに一泊二日の旅行を行う所もある。とはいえ研究室を完全にすっからかんにするわけにもいかない(動物もいるし)ので、車で1〜2時間程度の温泉やキャンプ場に泊まる程度だが。また、6年生などは実験中であったりするので、実験が終わってから参加し、翌朝にはまた大学に戻って実験をやって旅行に戻るという忙しい人もいる。