外国の獣医師
アメリカの獣医学科
アメリカでは通常、普通の4年制大学を卒業した者でなければ獣医料大学へは入学することはできないらしく、入学許可は客観的なデータ(成績や試験の点数等)と主観的な評価(経験や推薦状等)により決定される。これは欧米で動物愛護精神がたいへん進んでいる事のあらわれで、大学を卒業して常識的な人格を備えた人間 (別に大学出て無い人が常識無いってわけじゃないですよ。)でなければ獣医職に適切であると認められないようである。実際、アメリカでは獣医師は医師、弁護士に匹敵するくらい高い社会的地位を持つ職種であるという話も聞いたことあるし。
このため、アメリカでも近年では獣医科大学の人気が高いようであるが、大学の数は少なく、入学にも厳しい条件が必要とされているので、日本以上に大変な難関であるようだ。
欧米での獣医学教育
アメリカでは獣医科大学は4年制で各学年80〜100人程度で構成されており、1〜2年目では基礎獣医学を学び、3〜4年目からは臨床学や臨床実習などの実践的な授業が行われている。イギリス・オーストラリアでは獣医料大学は5年制で、1〜3年が基礎獣医学、残り2年間で病院臨床実習を行っている。
このように欧米諸国では、獣医科大学とは獣医臨床教育を行うための場であり、通常研究活動を行う学生はほとんどいないらしい。 この辺が臨床における日本との劇的な差を生んでいるのであろう。
欧米の獣医師免許
アメリカ、カナダでは通常、4年生の時に全国試験、臨床適正試験、さらに各州の試験を受験し、これら全てに合格することによって免許を有することができるという、かなり大変な状況のようだ。そのために獣医師の高い地位が認められてるってことなんだろうけど。実際に診療するための免許は各州によって発行され、これには有効期間があり、試験や講習を受けて更新しなければ没収されてしまうのだ。
外国での獣医料大学卒業生には免許資格、取得資格は認められていないため、北米の免許を取得したい外国人は自国の獣医師免許を持ってる人でも、この国の獣医学科に入学しなければならない。よその国の免許など認められない(あてにされていない)ようだ。
ヨーロッパでは獣医師免許は規定上どの国でも通用するらしいけど、教育の質の格差のためにこの制度は現在大きな問題となっているようだ。
欧米での就職状況
これらの国の獣医科大学は臨床を前提として教育が行われているため、当然卒業者はほとんど動物病院に就職する(優秀な学生はインターンに選抜されるようだ。)。その他、企業や国の機関や大学等にも就職する。ヨーロッパでも小動物臨床は人気が有り、半数以上がその方面に進む。
初年度の給与はおよそ3〜4万ドルで、大卒者の給与よりは高額だが、その他の専門職(医師、弁護士等)に比べるとかなり低額のようである。
ところで、これらの国では獣医大学数・入学者が制限されているため、日本のような獣医師過剰もあまり問題となっていないようである。国土や人口も多いだろうしねー。
専門教育と卒業後教育
欧米諸国やオーストラリアでは、獣医学科卒業後に専門家を育成する目的でインターン制度が設けられており、アメリカで特に整備されている。インターン後は外科、内科、腫瘍科、眼科等それぞれの分野における専門医を育成するためのレジデント制度がある。通常、レジテント修了後に専門医の試験を受け、それに合格することにより専門医の資格を得ることができる。 このように諸外国では、高度な専門知識を持つ獣医師の養成にも力が入れられている。
また、アメリカでは卒業後教育も充実しており、各地域や全国規模での集会が多数行われていて、最新の情報収集と技術の向上(特に放射線学、腫瘍学、整形外科学等などでの新たな技術)のために積極的に参加する獣医師も多いようである。 近年では、これらのプログラムに参加することを免許の更新の条件としている州も増えているらしい。